損失を出した人が多かった2007年後半から2008年を振り返りながら
為替のスワップ狙いとは、すなわち高金利通貨を買って低金利通貨を売る取引、日本では人気のある円を売って豪ドル、NZドル、南アランドを買う取引のことである。円と高金利通貨の金利差収益が日々貯まっていく。
これを長期間持っていると為替取引のもう1つの収益要因である為替変動損益があまり気にならなくなる。スワップ益は金利差が逆転しない限り常にプラスだが、変動は円高になれば差損、円安になれば差益が生じる。円安になればスワップ益とともにダブルでプラスになるので言うことはない。それは2000年から2007年まで続いてきたことで多くの人々がかなりレバレッジを高くしてもスワップ益と為替変動益も両方を享受できた。

しかしいつもそうなるとは限らないわけで相場は円高にふれることがある。特に高金利通貨は貿易赤字国である場合が多い。貿易赤字国は輸入が輸出より多いので自国通貨である高金利通貨を売って円を買うこともあるのでいつまでも円安相場が永遠に続くわけとは限らない。
ただスワップ益は日々入金されけっして減少することはない。為替変動での円高のマイナスは極端に言えばゼロ円になるまでなので限りがある。重要なことは想定元本(レバレッジをかけた取引金額)が為替変動の損で証拠金を割り込まないようにすることだ。
レバレッジ1倍にすれば、例えばNZドルで、「1NZドル=80円」で1万NZドル買ったときには、証拠金は80万円預けている。これなら1NZドルがゼロ円になるまで取引元本はロスカットを受けることなく、日々金利を受け取ることができる。永久に金利差を受け取ることができるのだ。
私のケース
私が外貨投資を始めた頃は、まだ証拠金取引がなく長期の外貨債券を購入していた。例えば米ドル建てブラジル30年債11%を「ドル円=130円」で購入していたり、南アフリカランド20年債13%を「1ランド26円」で購入していたこともある。
どちらも15年ほど経過しているが、ブラジル債は金利が15年で165%、為替差損が現在1ドル110円なので15%で差し引き150%の利益、年率に直すと毎年10%の利益が出ているので日本で投資するよりはるかに良い利回りで回っている。
またランドは金利が195%、為替差損が現在14円なので46%合計で149%の利益で、これもほぼ年平均10%程度で回っている。豪ドルやNZドルは2000年前後で始めたのでそれぞれ70円台や60円台のものもあり、金利差も為替差益も出ている。
ただ為替変動の損益は均してみると年平均ではそれほど大きくない。逆に言えば、為替差損が生じたとしても、年数が経てば経つほど平均での損は減少していく。それに対して金利差収益は毎年きっちりと増えていく。
為替差損も痛手にならない
外貨投資は長く持てば持つほど金利収益がものを言い、為替変動などはとるにたらないものとなる。(次ページへ続く)