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リーマン社員の退職金は平均1億円
公的資金注入へ反発する米国世論

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2008/10/04 09:00

「これは100年に1度あるかないかのスーパー・クラッシュだ」。カリスマ冒険投資家として知られるジム・ロジャーズ氏がこう表現したように「リーマン・ショック」がアメリカ経済に与える影響は深刻だ。超大国アメリカがこれまで誇ってきた金融という最強の舞台装置がとうとう爆破された―。(バックナンバーはこちら)

「リーマン・ショック」で揺れるアメリカ経済の行方

 2008年9月はアメリカ経済にとって忘れられない月となった。7年前の「9.11 テロ」を彷彿とさせるように、ニューヨークのウォール・ストリートに金融パニックという衝撃が走ったからである。アメリカの5大証券会社が相次いで経営破綻や合併吸収あるいは銀行持ち株会社への転換を余儀なくされるという前代未聞の事態が発生した。

 カリスマ冒険投資家として知られるジム・ロジャーズ氏に言わせれば、「これは100年に1度あるかないかの“スーパー・クラッシュ”である。この激震の影響は自分が生きている間には収まりそうにない」。グリーンスパン前FRB議長も同様の発言を繰り返す。まさに「金融界のパールハーバー」と言われるゆえんだ。

 米貯蓄金融機関(S&L)最大手のワシントン・ミューチュアルも倒産。日本の地銀最大手である横浜銀行の2倍の規模を持つ全米第6位の銀行の破綻である。

 今後、アメリカでは1000行近い銀行が経営破綻するとの観測も出ている。不動産バブルでわが世の春を謳歌していたヘッジファンドの間でも破綻の嵐が吹き荒れ始めた。アメリカの金融ビジネスモデルが根底からぐらつき始めたと言えよう。

 ブッシュ大統領も8年間の在任中初めてなのだが、プライムタイムを利用した全米向けのテレビ演説を行った。いわく「アメリカ経済は危機的状況に直面している。早急にかつ大胆な支援策を投入しなければ、世界経済全体が瀕死状態に陥るだろう」。

 これは超大国アメリカがこれまで誇ってきた金融という最強の舞台装置を爆破されたに等しい状況と言えよう。このままではアメリカの国債も買い手がつかなくなる。それはアメリカの「ショック死」を意味する。

 そこで、ポ-ルソン財務長官やバーナンキFRB議長が中心となり、金融安定化に向けての公的資金注入計画が取りまとめられた。実に国内総生産(GDP)の5%に相当する7000億ドル(約75兆円)もの税金を使い、不良資産を買い取ることで金融や経済の正常化を目指そうという試みである。とはいえ、一連の金融危機を引き起こした投資銀行によるマネーゲームの責任を放置したままで国防予算を上回るほどの公的資金を注入する計画に対して、納税者の理解を得ることは容易ではなさそうだ。

 当然のことながら、アメリカの議会においても慎重な意見が相次いでいる。一般国民や議会関係者の間では「まずは今回のような危機的状況をもたらした経営陣の責任を明らかにすべきだ」との声が強い。

 これまでウォール・ストリートの投資銀行の経営者たちは破格の報酬を受け取ってきた。破綻したリーマン・ブラザーズをはじめ、5大証券会社の経営幹部がこの1年間に受け取った報酬総額はベトナムの国民総生産を上回るほど。また36万人といわれるウォール・ストリートのファンド・マネージャーたちが過去1年間で手にした収入はスイスの国民総生産に匹敵する額であった。これが成功報酬であれば誰からも文句を言われることはないはずだ。

フルド会長には200億円を超えるボーナスが

 しかし、これらアメリカを代表する金融機関の経営陣やファンド・マネージャーたちが手にした報酬は彼らが実際に達成した収益をベースに算出されたものではない。その大半は契約時の条件に従っているわけだが、成約に至ったM&Aや組成したファンドの規模に応じてボーナスが支払われる仕組みになっているのだ。要は大きな金額が動く契約をまとめさえすれば、その時点で破格のボーナスが手に入る。その後、ファンドやM&Aが成功するか、しないかは別問題なのである。

 しかも、リーマン・ブラザーズが破綻したケースでも、多くの幹部や社員たちは高額の退職金や手切れ金を手にしたといわれる。


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