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【財務諸表が読める・わかる】 あの回転寿司チェーンの財務諸表からこんなことがわかる

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2008/10/29 09:00

 このコーナーでは、財務諸表をとことんわかりやすく、そしてきちんと説明していきたいと思います。企業の損益計算書、貸借対照表、キャッシュ・フロー計算書を読むことができれば、株式投資やビジネスで必ずあなたの役に立つことでしょう。

回転寿司チェーンの財務諸表を見る

 今回から実際の財務諸表を見ていきます。前回、財務諸表を見るにあたっては、まず全体をとらえる、そして、重要なところから見ていくべきと言いましたが、実際の財務諸表を見るにあたって、加えて心掛けていただきたいのは、ただ数字を見るのではなく、どんなことをしている会社なのかをイメージしながら見るということです。そうしていくうちに、次第に数字を通して会社の様子が見えてくるようになります。

 今回見ていくのは、株式会社くらコーポレーション(証券コード:2695)の平成19年10月期(平成18年11月1日~平成19年10月31日)の財務諸表です。この会社は、くら寿司という回転寿司チェーンを運営しています。行かれたことがある方もいるのではないでしょうか。

 初めのうちは、どんなことをしているのか、身近でイメージしやすい会社の財務諸表を見て頂こうと思います。回転寿司チェーンと言うと、どのようなイメージを抱かれるでしょうか?ちなみに筆者の実家も寿司屋なのですが(ただし、回転はしません)、回転寿司チェーンと言うと、いろいろな設備(寿司を運んでくるベルト・コンベアーをはじめ)のある大きな店舗(駐車場も広い)をあちこちに(主に郊外に)出店しているというイメージがあります(回転しない寿司屋と比べて)。

損益計算書を見る

 まず当期純利益を見ます。きちんと1,562,019千円得ることができています。
次に上から順にその当期純利益をどのようにして得たのかを見ていきます。売上高が48,471,012千円ですが、平成18年11月1日から平成19年10月31日までの1年間にこれだけくら寿司の寿司が食べられたということです(もちろん飲み物なども含みますが)。

 それに対して、売上原価は23,833,305千円ですが、これは寿司になる前の魚やお米などの金額です。したがって、売上総利益は、売上高48,471,012千円-売上原価23,833,305千円=24,637,706千円となります。

 売上高と売上原価を比べて、「原価の倍で売っているのか!」と思われるかもしれません。しかし、販売費及び一般管理費が21,844,295千円と売上原価とほぼ同じだけ発生し、営業利益は、売上総利益よりもぐっと減って、売上総利益24,637,706千円-販売費及び一般管理費21,844,295千円=2,793,410千円となります。原価の倍くらいの価格にしないと、経営が成り立たないのです。

 販売費及び一般管理費の内訳を見てください。回転寿司チェーンの営業活動において、材料以外にどのようなものが必要になるのかを確認します。一番大きいのは給与及び手当です。当然ですが、働く人がいなければ、事業は行えません。次は賃借料です。くら寿司の設備は、すべて自前のものとは限らないのです。

 なお、内訳のほとんどはイメージできるかと思いますが、役員賞与引当金繰入額と減価償却費についてはピンとこないかもしれません。これについては後であらためて説明します。

 営業外収益と営業外費用を見ると、営業外収益と比べて営業外費用が少なく、経常利益は、営業利益2,793,410千円+営業外収益210,543千円-営業外費用14,087千円=2,989,865千円と、営業利益よりも大きくなりました。営業外収益と営業外費用は、主にお金の貸し借りや運用を通じて発生したものです。営業外費用の内訳を見ると、支払利息がメインですが、これが少ないということは、借入金が少ないということです。

 特別利益と特別損失を見ると、特別損失がかなり発生していて、税引前当期純利益は、経常利益2,989,865千円+特別利益42,442千円-特別損失271,264千円=2,761,044千円と、経常利益よりも少なくなってしまいました。特別損失の内訳を見ると、固定資産除却損、店舗閉鎖損失とあります。利益が得られない店舗(あまりお客さんが入らず、販売費及び一般管理費をまかなえないため)をやむなく閉鎖した際に発生したものでしょう。これは、会社の通常の活動によってではなく、予想外の特別な原因によって発生したものと言えます(閉鎖を予想して出店するはずがありません)。

 なお、特別利益の中に、販売及び一般管理費の役員賞与引当金繰入額と同じ「引当金」が付いた貸倒引当金戻入益というのがありますが、これについては後であらためて説明します。そして、最後に税引前当期純利益から税金を引くと、当期純利益1,562,019千円となります。


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